最初に悪魔を語ります。
この世の悪魔は人の心をコントロールし支配します。
されど支配された者たちは決してその現実には気付くことはありません。
むしろ悪魔に感謝して自ら進んで支配を望みます。
支配に幸福感さえ感じ続けます。
悪魔は多くの快楽を手に入れて欲望を満足してゆきます。
悪魔は決して多くを語りません。
自分の本心を見抜かれることもなく
自ら得た利益も成功も人に語ることはありません。
ひと時の虚栄心から己の偉大さ他のものに知らしめる愚かさを知っています。
すべては心の奥に秘められて記憶として時たま垣間見るだけです。
悪魔にあるのは今目の前にある現実と求める快楽です。
この恋の典範は恋の悪魔とならんことを啓蒙する指南書です。
一途な道徳的な恋愛とは価値をまったく異にする悪魔の啓示です。
天使たらんとする者には耐えがたき不謹慎なアイデアの氾濫です。
弱き心の男たちや大人として未熟な男子には不適切な教示です。
悪魔は天から堕ちた天使の成れの果てと伝えられています。
この典範書は悪魔と天使の両者たらんことを求めます。
真の恋の悪魔は天使の姿を纏い続けます。
恋の地獄に蠢く罪深き女たちのメシアにならんことを祈ります。