一夫一妻制度はキリスト教会が作り上げた自らの教義を広めるために確立された制度です。
農耕社会が生まれ人類の資本主義社会が成立する過程においては
極めて都合のいい教えであったために世界的な婚姻制度として広まってきました。
しかしその制度は人類の本来の性本能には多くの場合は矛盾しています。
|農耕によって生じた婚姻関係
農耕生活と都市の発生によって人類の男と女は次第に長期的なパートナー関係を
構築していく婚姻関係で結ばれるようになりました。
これまでみてきたように財産の継承においては確実な嫡子を設けることが
男性にとっては非常に重要なことがらとなり、
農地を耕作したり、都市での労働においては男女がパートナーを組み、
役割を分担しあう共同生活が非常に有利であったと考えられます。
それが家族同士部族同士の政治的もしくは経済的な結び付き、反映されて
現在のような婚姻制度に繋がってきたと考えられます。
しかし、その時代においては女性の地位は低いものであり、
家と血に縛り付けられた存在であった思われます。
|キリストが求めた一夫一妻??
完全なる一夫一妻制はキリスト教の教義と相まってヨーロッパにおいて
確立されていきましたが、
それ以外の文化圏ではそれぞれまちまちの婚姻形態をとっていました。
キリスト教はセックス即ち女性を不浄のものとし、
快楽のセックスを否定しました。
セックスは子孫を残すことにおいてのみ許されたのです。
|女の快楽を恐れたキリスト教会
マリアの処女性や聖職者の純血性が強調され続け
オーガズムは悪魔の仕業と位置付けられていきます。
中世のヨーロッパでは欲情に溺れる女子は魔女狩りで処刑されてしまったほどです。
次第にプラトニックなものが強調され、
女性には性欲もオーガズムもないとされ続けたのです。
しかし、女性の性への本能は決して消え去ることはなく、
女たちの深い快楽を恐れた男たちはクリトリスの除去手術を
女たちに施したりもしていました。
それはつい最近まで1900年前半まで欧米で行われていたのです。
|中世ヨーロッパのプラトニックラブ
キリスト教の文化圏では性は歪められ押し込められていく中で
次第に精神的なラブを求める風潮が強まっていきます。
プラトニックな愛へ肉体の欲望を昇華していきました。
その典型が中世ヨーロッパにおける騎士による宮廷的純愛の追求となっていきました。
愛する女性の為に肉体的な愛ではなく精神的な愛で女性を敬愛する精神が
現在の恋愛の原点となっていったのです。
恋等の概念はそれまで男女間では見られることはなく
性的な衝動による異性に対する好ましさの気持ちは存在していましたが、
相手に対して永遠の愛を誓う習慣などは存在しなかったはずです。
その精神はキリスト教会にとっても非常に都合のいいもであり、
大航海時代にヨーロッパ人とともに世界に拡散していきました。
つまりキリスト教文化とともにこの西洋的な婚姻制度、永遠の愛を根底にする
男女関係が広まっていたのでした。
|強要された婚姻制度
アジアやアフリカ、南米のいわゆる非文明国はほとんどは乱婚乱交の婚姻形態でしたが
次第にキリスト教への改宗と同時に一夫一妻制への移管を強要されたのです。
現在、世界中で行われている愛ある結婚制度はキリスト教の布教とともに
文明国としての倫理として言わば押しつけられていったのです。
現在、その制度に従っていない同じ神を崇めるイスラムの文化圏は一夫多妻制を堅持し、
文化的な衝突を繰り返しているのはご存じのとおりです。
|日本も乱婚状態だった??
日本でも明治以前は厳密なる一夫一妻ではなく富める者は
出来るだけ多くの妻子を養っていました。
所謂多婚です。
また地方の村社会では多くは乱婚状態でした。
武士社会と資産のある者たちは厳密な婚姻制度をひき
必死に血の継続を図っていました。
源氏物語の世界は愛の世界ではなく情愛の世界を描いています。
通い婚の一夫多妻制の典型です。
そこには浮ついた恋愛感情ではなく男と女の欲望の情念があるだけです。
恋や愛などの言葉は西洋かぶれした明治の文学者が創作したものです。
本来は慈愛と情愛があるだけでした。
|本当の男女関係とは?
本来人間の性は自由であり平等の営みでした。
それがいつか文明が発達して女性の所有化がおこり、
女性を拘束していき、そして現在ではお互いを規制し合い
誓いをたてさせられ、雁字搦めにされてもはや本来の男女の喜びを
楽しめることはすくなくなってきたと感じられます。
改めて我々は男と女の本来の姿をもう一度見つめ直してみなくては
ならないのではないでしょうか?
愛だとか恋だとかは西洋文明とキリスト教儀が作り上げて近年の観念であり、
まるでそれが人間の人間たる所以、本質であると信じることは大きな間違いです。
愛は一つではなく永遠でもありません。
そこには必ずランダムな動きをする性が伴います。