恋人関係や夫婦関係、同棲関係において、もうとっくに愛情は冷めきってしまい、セックスレス状態に陥っているのに、なかなか相手と別れることが出来ないことが良くあります。この根本的な事由は、男女によって大きく違ってきますが、男性では、思いっきりのなさからついつい関係を終わらすことが出来ず、形だけの関係をダラダラと続けてしまっていることが意外と多いものです。
何故、男性はもう終わっているはずの意味のない関係をダラダラ続けてしまうのでしょうか?確かにそこには情の念も絡んできていますが、最大の理由は別れに対する男性特有のネガテイブな感情が絡んできます。
別れられない男の幾つかの事情
男女の恋愛感情には賞味期限があり、凡そ3~4年と言われています。3~4年の時間は動物界では子育て期間にあたり、多くの動物は子育てが終われば、そこで一旦関係を解消し、また新たなパートナーと繁殖活動に入ります。極寒の南極で夫婦の強い絆で子育てを行うことで有名な皇帝ペンギンでさえ毎年相手を変えて繁殖を行います。その生殖生態が、人類の恋愛感情にも大きく影響していると言われ、愛情の3年説となっています。
社会的な生活を営む人間の男女の関係には、動物の生殖活動とは違い、様々な要因が複雑に絡んでいき、別れはそう簡単ではありません。一度契を結んだ男女は、同じパートナーと生涯を共にすることが基本とされています。自然界の通常の摂理から言えば、この人類の男女関係はかなり特殊であるとも言えます。そのために、様々な面で矛盾と歪が生じることになり、その関係性の維持には多くの努力と大きな苦痛を伴っていきます。
人間における男女関係には、個人的な嗜好と子育ての状態、社会的な要因、経済的な事情などが加わり、実に複雑な相互関係を呈するのが普通です。その事情は、恋人関係、同棲関係、夫婦関係の順に深まり、年月にも正比例していきます。その複雑な絡み合いによって、時には男女関係の解消に対して大きなストッパーとなっていきますが、男性は本来の自由恋愛の精神を喪失していきます。
男性が女性と別れることが出来ないことに対して凡そ以下のような理由が一般的に述べられています。
- 相手への情愛
- 相手への憐憫
- 相手への未練
- 世間体の配慮
- 子育ての遂行
- 生活の維持
- 別れることへの恐れ
これらの要因は個人によってさまざまに絡み合って、それぞれが多様な事情を作り上げていき、男性が別れに踏み切れない理由になっていきますが、冒頭で述べたように男性が女性と別れられない要因の最大なものは別れへの恐怖です。この別れへのストレスが男性がその先に進むことを阻止しています。どのような心の仕組みが男性に別れを恐怖させているのでしょうか?
失うことへの恐怖
人は今の状況変化や失うことに対して強迫観念を抱きます。それまで慣れ親しんだものから離れることに大きなストレスを感じ、不安な気分になります。そこに既に以前のような愛情がないことは分かっていても、手放すことや変化に対して大きなストレスを覚えるのです。すでに関係を維持することに合理的な理由は存在しないはずなのに、慣れ親しんだ相手と離れることを思うだけで、気分は落ち込みます。
この気分の悪さは、人との関係解消だけではなく、物を手放すときなどにも生じる感情です。もう使わない不要なものがなかなか捨てられない時の気持ちとよく似ているかもしれません。また男性が、中々会社を辞められないのもこれと同じで、現状を失うことへの恐怖が最大の阻止要因となっています。
そして、そのストレスから、もうはや満足していないはずの元の環境に戻ることで多くの男性は安堵の気分になっていきます。妻の元や恋人のもとに戻ることで不安な気持ちは一旦落ち着きます。男性が毎日、家に帰るのも、会社に通うのも辛い気持ちを味わいたくないからです。決してそこには心からの悦びはないのですが、もとに戻らないことで生じるネガテイブな心理は消えていきます。
男性が別れられない最大の理由は、ネガテイブな気分を味わいたくないだけあり、相手への情や家族や世間体、会社などへの考慮よりは根本的にはこの不快な気分を避けたいのです。相手の女性や子供、両親、社会への配慮などよりは、ずっとこの自己の感情が優先されているのです。一種の保身の行為でもあるのですが、あながち否定されるべきものでもありません。何故なら、本來、多淫な男性の身勝手な暴走行動を思いとどめていることも確かなのですから。
男の脳が別れを拒んでいる
この失うことへの鬱な気分は、男性の愛情ホルモンとして作用するバソプレッシンの脳内での不活性が影響しているものと推測されます。バソプレッシンは、以前述べたように縄張り意識に大きく関与するホルモンです。所有することで、バソプレッシンは活性化され、高揚ホルモンであるドーパミンが分泌されていき、男性は幸せな気分になっていきます。
一方、縄張りや所有物を失うことは、バソプレッシンの活性は低下し、相関性が強く認められる男性ホルモン・テストステロンも影響を受け、最終的にはドーパミンの活性が低下して気分が落ち込んでいくプロセスを辿ります。
何かを失うことは男性にとって、オスとしての存在意義を貶めていき、本能的に嫌悪する感情が生まれるものなのです。男性が、女性と中々分かれることが出来ずに関係を続けてしまう理由は、縄張りや所有物などを手放したくない意識と同じです。
(参照)
自分の本心を見つめる
このように、男性が女性との関係をなかなか解消できない理由は、男性特有の保有するものへの執着心であり、失うことへの脅迫観念でり、孤独への恐怖です。一種の自己保身の意識がそこに働いていきます。今、女性との別れに悩んでるかたは、まずは自己の心を見つめて見ることが大切かもしれません。この記事は、別れることが出来ない男性への旨いアドバイスとなることにはなりませんが、何故、自分は別れる勇気が無いのかと悩んでいる男性に少しでも参考になればと思っています。
ここであえて言うならば、恐怖心は、自己を防衛し生存を確実にするためには、非常に大切な情動の一つです。恐怖する心があってこそ、人は進化してきたことは事実です。決して恥じ入る筋の情感ではありません。
二股の勧め
そして更に追記するなら、喪失に対する強迫観念や孤独への恐怖を精神的に乗り越える最善の手段は、次のパートナーを予め見つけておくことかもしれません。どんなに女性と深い関係であっても、別れは必ずあることを常に意識し、スペアーを用意しておくことこそが心の自由を担保してくれる最善手なのです。二股を行う知恵と覚悟を持つことです。