狩猟採取の時代から農業社会への転換は男女の性的な関係を大きく変えていきました。
農耕はそれまであらゆるものを共有していた社会から所有する社会へ転換させてゆきましたが、
男女関係においてもお互いを拘束しあう関係が生まれたのです。
そのなかで女たちは強かに男たちをセックスでコントロールしてゆきました。
|根本欲求が大きく違う男と女
これまでみてきましたように男と女の恋愛観にはそもそもかなり大きな違いがあります。
男性の求める恋愛と女性、女性の心を動かす恋愛と男性はまったく違っています。
男における恋愛とセックスの目的と価値観そのものは女性と全く違っていると言えるでしょう。
その性態の原点は狩猟採取時代の人類の生殖活動にみることが出来ます。
乱交乱婚時代の本能が男女の恋愛反応の中に散りばめられていて、
現在の我々の愛のすれ違いを招いているのです。
その決定的な差異は
常に新奇の女を求める男と安定的な関係奉仕を求める女
の心と体のすれ違いにあると言えます。
|戦略転換した女と同じ繰り返しの男
|農耕社会への転換による単婚制の普及
農耕の開始は様々な社会の変革をもたらしました。
特に婚姻関係に大きな変化がありました。
それまでの乱交乱婚の生殖形態は土地や財産を継承を第一義とする
遺伝子の正当性を守るための婚姻形態、一夫一妻制の単婚に移行していきました。
女性たちはすばやくその社会の変化に適応していき複数の男性から
精子を収集して秀でた遺伝子を自らの子孫に取り込む戦略から、
一夫制による血の純血を守るため戦略に表向きは適応していったのです。
|男たちのDNAの防衛
男たちは自らの遺伝子を確実に伝える為に女たちの貞節を守る必要が生じました。
そのためには女たちが他の男とのセックスが出来ないようにする必要がありました。
女性を所有化して日夜監視を続けて行かなくてはなりませんでした。
女達は貞操を強要され不貞はどの社会においても厳罰に処せられたのは
ホンの一昔前まで続いていました。
その反面乱交乱婚時代に肥大化した男たちのこう丸とペニスは
大人しく治まり単婚制に適応することなく
機会があるたびに新たな畑を求めて必死な闘争を繰り返していました。
富や権力を得たものは複数の女を所有することは男のステータスでもありました。
これらの資産を得た男たちは一夫多妻のかたちをとることができました。
しかし、持たざる者は一夫一妻であり、更に持たざる者は妻を得ることはありませんでした。
|女達の逆襲
女たちは男達のこの闘争の社会では生き延びるためには従順である必要がありました。
一旦はこの資本主義的男性本位の社会を受け入れ男性の服従を余儀なくされましたが、
その代わりに女たちは受け入れるべき男性の事前検閲を厳格にしていきました。
それまでの乱婚乱交時代では男たちに平等に与えていた性も男たちに管理される社会になると
託すべき男性の選別に慎重になっていたのでした。
相手の性格や愛情、経済的な力、社会的な地位、遺伝的な健康度など
五感六感を駆使して男性の検閲を行うようになったのです。
大きな生殖上の戦略転換です。
男たちに簡単にはセックスを与えない、
そして与えるにはそれなりの見返りを要求する戦略です。
女たちの逆襲です。
|セックスの武器化
この戦略転換は新たなる戦略をも組み立てます。
家族や夫との夜の営みによる裏からの社会への影響力の獲得を目指して行きました。
そして次第に男たちを逆縛りしていったのでした。
セックスで男たちを挑発しセックスで男を操作するという、
セックスを大きな武器にしていったのです。
その生態行動は現在にも大きく継承されています。
時代とともに女たちは精神的な愛を唱えつつも、
セックスを餌に男たちを糧にする戦略を大きく拡大させていきます。
現在のアイドルや風俗、AVなどは性を根底にした女たちのビジネス範囲は
大きく発展しています。
一部の男女平等主義者の主張とは裏腹の現象が確実に起きています。
ますます女たちは性を武器に生きてゆき、権利を拡大してゆきます。
見方によればカマキリ的な生態に人類は近づいているように感じます。
メスがオスを食して子孫を繁栄させるあのカマキリの性行動です。
|消えることなかった女の欲望
しかも、この一夫一妻制という男女関係の大転換においても従来の女たちの深い快楽は
治まることはありませんでした。
家に押し込めている女たちの欲望の暴走に男たちは恐れおののきました。
それまで乱交で満足を得ていた女の性の欲望が夫の一身に被さってきたのでした。
西欧のキリスト社会は女達のオーガズムの封印に躍起になってすらなっていきました。
オーガズムは神を冒涜する大罪であると位置づけ、クリトリスの切除まで行われていたのでした。
|女たちは適応をしていった
男たちは自らのセクシュアリテイーは決して変化させることなく
快楽は秘密裏に求める都合のいい社会を形成していきましたが、
女たちは順応する素振りで裏から夫を操作する強かな戦略に転化し生き抜いてきました。
それが西洋の文明社会の婚姻制度の一面です。
この転換はそもそもの男性と女性のセクシュアリテイーの許容性や柔軟性に由来します。
男は不器用な生き物で一度習得した習性はなかなか変更することができません。
女性はそれに比べてその時々の社会情勢や文化、
相手の男性によってすら自らのセクシュアリテイーを
すばやく変化させていくことが出来ます。
女性が弱者の立場であったから他なりません。
ダーウインはこう述べています。
強いものが生き残るのではない。
変化に対応できるものが生き残るのだ。
と。
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