恋の正体は性欲です。
我々の生殖本能が作動するために湧き上がる本能感情の化身したものが
「恋」と呼ばれるもの正体です。
人は性欲を見事に文化的な高尚な活動に変えたとも言えるのです。
|恋と愛の違いとは違う
恋愛を因数分解して恋と愛と言う感情に分けて別に理解しておくことが
恋愛感情の本質を的確に捉えることが出来ます。
恋とは余計なものをそぎ落として単純化して述べるなら
男と女にお互い惹かれあいセックスに至る為の動機づけの感情作用です。
即ち、生殖行動のプロセスの一つであるといえます。
恋とは性欲のもう一つの呼び方と捉えたほうが適切です。
ごくごくその恋の感情をデホルメして言うならば、
恋とは性欲を違う角度で見た表現と言えるでしょう。
あの女性とセックスしたい!
あの男に抱かれてみたい!
と言う本能の叫びが恋と言う気持ちとして湧きあがってくるのです。
自分の好みのタイプの異性を見た時や触れた時に
この本能に刻み込まれた恋と言う性欲プログラムが作動します。
作動のトリガーは人によって様々です。
自分のストライクゾーンに触れる魅惑を有する異性に出会うと
遺伝子はこのプログラムを作動させてきます。
恋は人間の古い脳の部分が作動する反応で極めて動物的で
本能的な現象です。
|では愛とは何か?
一方、愛という感情は男女間で芽生える生殖に纏わる触媒感情の役割だけではなく、
人間の感情のなかでもかなり広範囲で奥深い精神活動であるともいえます。
男女間だけの想いを語るだけではなく、自分自身、親子間、隣人間などの
人同士における親しい慈しみの感情を表すだけではなく
ペットや植物などの生き物、物体などの無機的なものにまで人間が抱く
人間の行動原理そのものの感情を言います。
恋愛とは恋から始まり愛に至る行程を表しているともいえるかもしれません。
愛については後ほど詳しく見て行きます。
|惚れ薬PEA
恋は男女が己の性的な本能を刺激するような異性に遭遇した時に
脳内に不随意におこる化学反応です。
その反応は個人によって様々な相手、条件によって起こりますが、
概ね男女が強く反応する異性の特徴は特定の傾向があるのも事実です。
自分の生殖相手として適正な要素を持ち合わせていると
生物学的に反応することで異性に対して恋心は湧きあがります。
自分の生殖本能が希求する特性を持っている異性に接触することで、
PEAという神経伝達物質が大量に脳内に分泌されます。
別名惚れ薬と言われる性ホルモンです。
PEA(フェニールエアチミン)が大量分泌されると
更に報酬系の神経伝達物質のドーパミンの分泌を誘導し、
人間の脳は心地よい感覚が支配します。
人間は暫く恋の幸せに浸り、寝ても覚めても相手のことを考えることになります。
(参照:恋愛の正体)
|恋と言う言い訳
脳が巨大化し知能が発達した人間は
ただ単に動物的な生殖本能に従うことを
嫌悪の感情を抱くようになってしまうようになります。
賢くなると自らの行動に何らかの理屈や言い訳を必要とすることと一緒です。
生殖相手を求めるこの狂おしい感情に人は崇高な精神活動としての地位を与え、
これを恋と呼ぶことにしました。
それは古い脳で起こる利己的で本能的な感情現象に
新しい脳の大脳新皮質が人間的で精神的な意味付けを行い、
まるで無私で高貴な精神的活動ごときのポジションを与えたということです。
そして知能と文明の発達によって既に食料調達に
大きな時間を割く必要がなくなった人間たちは
恋と言う生殖ゲームに次第にのめり込んで行ったのです。
|中世ヨーロッパにおける恋愛感
特に中世ヨーロッパではキリスト教の教義とも相まって
人間の崇高な精神の最後の終着点として
この男女の感情をより精神的に昇華させていき、
恋愛至上主義の騎士道精神を生んでいきます。
それが西洋文明とともに世界に拡散して現在の
恋=恋愛=結婚=幸福
という馬鹿げた方程式がまかり通るようになった事情です。
|恋は性欲でしかない
しかし、この恋の実態はどのような言葉で飾り立てようと
性欲そのものでしかないのです。
恋とか愛は時間をもてあました人間たちが作り出していった暇つぶしの遊戯なのです。
実際、原始的な生活をおくるアマゾンやオーストラリアの先住民たちは
恋のような激しい感情は余り持ちません。
(参照:人類の古の男女関係)
好みや惚れるといった寧ろの生殖適合者を選別する為の気持ちです。
生殖本能・性欲に自然に従うだけで、恋のような独占的な感情は余り抱きません。
そしてお互いを最後に結びあうのは慈しみという絆です。
相手に恋心を抱く、即ち性欲を抱く反応は以下のように起こります。
|生殖的な相性に反応するのが恋
ではどのような相手に恋に落ちるのでしょうか?
人は生殖適齢期において特定の異性との免疫的な相性の良さを
確認出来た段階で恋心を抱きます。
つまりその相手とセックスを希望することを生殖本能が表明するのです。
するとPEAが大量に分泌されて相手に恋焦がれると言う現象にいたります。
心をいてもたってもいられない状況に追い込み、生殖行動を起こすことを促します。
そしてその生殖適合者とセックスを叶えた暁には
ドーパミンが更に脳内に大量に分泌されて
セックスの快楽と言う報酬を人に与えます。
我々が如何に否定しても恋とは単なる精神活動ではないのです。
明らかに生殖活動を行うためのトリガー(引き金)なのです。
ではそのトリガーは如何なる条件で引かれていくのでしょう。
|人が恋に落ちる条件
人が恋の引き金を引くのはあくまでもDNAの継承の為です。
そのDNAの伝達拡散をより確実に行う為に人は多くの選別行程を行います。
特に女性のパートナー選別は男が相手の外見だけで決めることに対して
極めて複雑で厳格な過程をたどります。
その理由は卵子と精子の生涯における絶対数の格差によることは
既に学んできたところです。
男性は兎に角、下手な鉄砲数打ち当たる方式で相手を余り選びません。
セックス出来て精子をバラ播くが基本方針です。
反対に卵子が一生に400前後しか排卵出来ない女性は
男性をしっかり査定します。
卵子製造のコストやこれからの子育てにかけるコストを
計算のうえ相応しい男性を選別するのが自然が命じた使命です。
そして次のような基準でパートナーのチョイスを行うのです。
この基準のセンサーの針が大きく振れたときに人は恋に落ちます。
つまり、相手と生殖したいという性欲が起きるのです。
- 免疫的適合性
- 肉体的視覚的適合性
- 社会的適合性
- 年齢的適合性
の4つの適合性です。
これらの条件を詳しく見ていって見ましょう。